風邪のひきはじめには葛根湯、と言われていますが、なぜ風邪のひきはじめに飲むのかご存じでしょうか。逆に、風邪のひきはじめを過ぎると、葛根湯って全然効かないのですが、これも不思議だなぁ、と思っている人はいないでしょうか。
葛根湯ってそもそもどんな薬?
葛根湯という薬は、今からおよそ2000年も前の医書「傷寒論」に書かれている薬です。急に寒気が…、鼻水が、頭が痛い、関節が痛む…といった場合に、温めて熱を発散して治す生薬の組み合わせになっています。そもそも、この風邪の捉え方が、東洋医学では面白くて(私が勝手に面白いと思ってるだけかもしれないんですけどね)、「邪(じゃ)」が入ってくる寸前、という表現がぴったりきます。
一般的には風邪、とかくと「かぜ」と読みますが、東洋医学では「ふうじゃ」と呼びます。冬になるとこの「ふうじゃ(風邪)」がよく私たちの「表」の部分にやってきて、自分を守る「気」がきちんと充実していれば、「邪(じゃ)」を蹴散らして、体を守ることができます。しかし、「気」が疲れていたり、免疫力が充足していないと、身体の中に入り込もうとして、どんどん中に入ってきます。入ってくる場所は主に、鼻や口、毛穴など穴が開いている箇所です。
この、体の中に入りそうな状況のときに私たちは「寒気・悪寒・関節の痛み・頭痛」などを感じやすくなります。これを、先に述べた葛根湯のような「解表薬(げひょうやく)」といって表にいる邪を追い払うような薬で追っ払う、という仕組みです。本当にうまいことできてますね。 配合されている生薬
葛根
麻黄
桂皮
生姜
甘草
芍薬
大棗
実は、葛根湯の中には、桂枝湯という脾を補う生薬が含まれています。 桂皮・芍薬・生姜・大棗・甘草=桂枝湯(けいしとう)です。これに、葛根(コリをとる)と、麻黄(発汗作用)の生薬が合わさっている、という処方になっています。
葛根湯は冷え対策に毎日飲んでもいいのか。
葛根湯は寒さ対策で飲んでいる人がまれにいますが、これはあまりお勧めな飲み方ではありません。なぜなら、葛根湯は発汗作用を用いて、邪を発散させるという働きがあるので、常用してしまうと、本来必要な気や津液(からだのうるおい)なども奪われて、逆に調子が悪くなってしまう方もいるからです。 冷えが強い方はネギやニンニクといったものを日々摂ったり、飲み物にシナモンを入れたり、嗜好品の中で取り入れるのも一つの手です。自分の正気(せいき:体の抵抗力)を高めて、風邪やウィルスに負けない体にしていきましょう!
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